私は分離型バーナーST-301・FUSION ST-330の愛用者です。両方を使うので、徹底比較をしてみました。
両方を使っているからこそ分かる違いがあります。それぞれどう違うのかが分かれば、どちらの購入を検討したらいいのかが、その違いから見えてきます。
今回はそんなSOTO(新富士バーナー) ST-301とFUSION ST-330を徹底紹介していきます。
・冬に使える分離型バーナーを探している
・冬キャンプしないので、ST-301、ST-330どちらを購入したらいいのか迷ってる
・SOTOの分離型バーナーの魅力が知りたい
・マイクロレギュレーターの実力が知りたい
・ガスの成分による季節の使い分けを知りたい
簡単に…分離型バーナーの魅力を紹介します!
分離型バーナーで得られる一番の魅力…それは、輻射熱を気にしなくていい!
という事です。
下の写真ですが、実はこれ…輻射熱で焦げた板の写真です。
鋳鉄製のスキレットか、ダッチオーブンをST-301で使用した時に出来た焦げ跡です。
ST-301のゴトクは3つ足なので、バーナー部分とゴトク部分が無いところだけがっつり焦げています。
本体に直接ガス缶(カセットガスの事)を接続する直結型だと、ガス缶にも輻射熱が届いてしまうため爆発の危険が有ります。
が、分離型の場合はバーナー本体からガス缶が離れているため、たとえ12インチのダッチオーブンだろうとガスバーナーで調理が出来てしまいます。
他にも魅力はありますが、何を差し置いてもこれが最大の魅力です。
分離型バーナーのメリット・デメリットに関しては別記事にまとめていますので、興味が有る方はご覧ください。
ST-301とST-330に共通するメリット 「使用燃料はCB缶」
ST-301、ST-330ともに使用できるガス缶は「CB缶」です。
一般家庭にある、よくあるガス缶(カセットガス)です。
アウトドアショップで購入できるOD缶はCB缶に比べてかなり高い(CB缶が100円くらい、OD缶はCB缶と同容量で400円くらい)です。なので、家計にありがたい燃料です。
OD缶はアウトドア用で外での使用に適した構造(鍋に入れて持ち運びしやすい形等々)になっているため、キャンパーにOD缶愛用者は多いです。
が、経済面で負担の少ないCB缶はファミリーキャンパーには大きなメリットとなります。
下の写真のように2台同時使用で、ガスをガンガンに使って空にしても、安いCB缶なら200円程度の出費です。
OD缶を空にすると…そのお金でランチが食べれるかもしれませんね(笑)。
ただOD缶はCB缶と少し構造が違い、アウトドア用に高火力だったりします。OD缶はCB缶に比べて劣っていると言うわけではありません。
CB缶は基本は家庭用のですからね。それでもやっぱりランニングコストは大事…。そんなCB缶を使用できるSOTOの分離バーナー2つの違いは以下の様になっています。
SOTO ST-301とSOTO FUSION (フュージョン)ST-330はどう違う?
ではここからはST-301、FUSION ST-330のそれぞれの違い(特徴)を見ていきます。
写真左がFUSION ST-330で、右がST-301になります。
マイクロレギュレーターの「有・無」が違う!
ST-301とFUSION ST-330の一番の違いはここです。
マイクロレギュレーターを搭載しているか否かです。
さて、マイクロレギュレーターとは?どんな効果があるの?と疑問に思いますよね。さっそくその効果を見ていきます。
マイクロレギュレーターとは?
マイクロレギュレーターには「低温下・連続使用時の火力低下を抑える効果」があります。
マイクロレギュレーター搭載のST-310の箱にはこんな表が記載されています(なぜかST-330の箱にはこの表は有りませんが…)。
外気温が高い時はレギュレーターの有無でお湯の沸騰時間はあまり変わっていませんが、低温化では如実に差が出ていますね。
レギュレーター有りの方は、気温が高い時と似たような時間で沸騰、無しの方はかなり時間がかかっています。
ガス缶のお話 ブタン・イソブタン・プロパンの違いを知ろう
ちょっと長くなりますが、この記事を読んでいる方は冬の使用も検討している可能性が高いと思いますので、そもそものガスの特性についてお話します。
アウトドア用で販売されているのガス缶で使用されている主なガスは以下の3つです。
・ブタン
・イソブタン
・プロパン
そしてブタン・イソブタン・プロパンと右に行くほど低温に強いガス(気化しやすくなる)なります。
イソブタンやプロパン配合はパワーガス等と表記がされて、販売されていることが多いです。ただし、これら成分が入るとOD缶くらいの、かなり高めの価格設定になっています。
アウトドアでガスを使う場合は、時期によってプロパン混合品を使うなど、使い分ける必要が有ります。
液体ガスを気化させて、気化したガスを燃焼させるタイプのバーナーは、気温が低いと気化しにくくなってしまい、火力が低下してしまいます。
その為、冬キャンプでは低温でも比較的気化しやすいイソブタンやプロパンが重宝されます。
さらに深刻な問題が連続使用時の火力低下です。
気化熱って聞いたことはありますか?
打ち水の原理と同じなのですが、液体が気体になる際、周りの熱を奪ってしまいます。そう、液体のガスが気体に変わる際、ガス缶がかなり冷たくなってしまいます。
これら火力の低下現象をドロップダウン言います。
ドロップダウンの影響で、缶が気温以上に極寒となってしまいます…。
寒い時期に長時間使用すると火力はどんどん低下してしまうんです。
私の経験ではブタンを使用した一般的なガス缶で、西日本の低地でも11月の朝の使用(10℃を切ると火力の低下を感じるかな~?)ではかなりの火力低下を感じます。
冬はかなり頑張れば使えないことはないけど役に立たないと思った方がいいです。
その為、私は冬用にプロパン配合のSOTOパワーガスを使用しているのですが、プロパン配合でも火力低下は結構感じます。
ブタンに比べれば使い物になりますが、冬場はガスの液量が減ってきたらプロパン配合でもキツイと感じるシーンが多いです。
それでもプロパン配合でない限り、冬の朝はほぼ使い物にならないと考えて、プロパン配合のST-760を用意しておくことをお勧めします。
ST-301は非搭載・ST-330は搭載!
ST-301にはマイクロレギュレーターは搭載されていません。
その為、冬場での使用にはプロパン配合のSOTO POWERガスST-760の使用が必須です。(※それでも氷点下近くになると使い勝手は結構厳しい物が有ります。)
ただし…そうなると、経済性を重視してCB缶にしたにもかかわらず、ちょっと経済的なギアじゃなくなる…。
とはいっても1本300円程度なので、OD缶と同じ程度の値段に落ち着くだけですけどね。
ST-301は低温下で使用を考えているユーザーには注意が必要なギアと言えます。
対して…
FUSION ST-330にはマイクロレギュレーターが搭載されています。
なので、晩秋以降の時期の朝ごはんでも使用したいな~と思っている方にとっては非常に心強いギアとなります。低温化でのドロップダウンを防ぐ効果が有りますからね。
ただ、春~秋だけしかキャンプはしないよ!という方にとっては若干宝の持ち腐れ感のある部品でもあることは事実です。
外気温5~10℃くらいの環境ではST-301で調理が全く出来ないというわけではないですからね。
「火力が落ちるので調理に時間がかかるので結構不便~…!」って思うことは有りますが、春~秋キャンパーにとってはそんな時期はほんの少しですからね~。
5~10℃程度の環境で有れば、ブタンのCB缶でも常に満タンのガス缶を用意しておけば、そんなに不便を感じることは無いと思います。
残量が半分以下になったら、家で消費すればいいだけです。
ただし!冬も使用するならST-330は必須だと考えています。
凄い実力だった!マイクロレギュレーターの効果を検証実験!
冬の朝にST-301とFUSION ST-330では、どれだけお湯の沸く時間に差が有るのかを実験してみました。
水はシェラカップに…
・ST-301 と FUSION ST-330に プロパン配合のST-760ガス缶を接続
・ST-301にはガス内容量 91g の物を使用
・FUSION ST-330にはガス内容量 54g の物を使用
この条件で実験スタートです。
冬の朝としては、あんまり寒くない2℃程度の気温ですが、もともとガスが満タンの場合は内容量240gあるST-760が、かなり使用した後のスカスカのやつを使用しています。
ST-301はマイクロレギュレーター無しなので、内容量がちょっと多めの物を使用しました。(同じ内容量のガス缶が無かったもので…)
実験開始直後はどちらも火の色が見えていますね~。
と…思ったのも束の間…
実験開始からST-301はどんどん弱まっていき…スタートから3分後には鎮火…
FUSION ST-330はもともとのガスの容量が少ないにもかかわらず、炎が出ています。
ただし、沸くのには時間がかかりました…スタートから11分40秒後に沸騰です。
マイクロレギュレーターはガスの残量が少なくなってもきちんと炎が出続け、沸騰させたのに対し、ST-301は3分で炎を保てなくなる程ガスの出が悪くなりました。
冬季の使用ではFUSION ST-330を選ぶ必要が有ると感じました。
火力が違う!
・ST-301は 3.7kW(3,200kcal/h)
・FUSION ST-330は 2.6KW(2200Kcal/h)
この差は結構あります。
じゃあ、ST-330は低火力なのか??というと、そんなことは無いです。
確かに公式の火力では圧倒的な差があるんですが、次以降の項で順次紹介しますが、ST-301はST-330に比べて炎の形と、後述する風への耐性が違うので、一概には上記の発熱量だけでは語れません。
で、ここで気になる情報がもう一つ…
ガスボンベ1本(ST-760を使用時)の連続使用時間ですが…
・ST-301 は 1.4時間
・FUSION ST-330 は 1.5時間
となっています。
ここで、んん!??っと思ったのですが、火力には1.4倍の差があるのに、燃焼時間は1.07倍の差しか無いんですよね~。
素人考えでは火力が1.4倍なら、ガスの消費スピードも1.4倍だろ?と思ったんですが、そうではない。
これについては確証は無いですが、おそらくマイクロレギュレーターの差ではないかなと思います。
ドロップダウンによる火力低下を防ぐ効果があるので、連続使用時に火力が安定しているST-330と、連続使用時に火力低下が起こるST-301では、実際のガス缶1本の燃焼時間には大差がなかったのかな?と…。
そう考えると、FUSION ST-330の火力は2200Kcal/hでも、十分実用的と言えますね~。ただ、初っ端の高火力(ST-301)は実際の調理では結構役に立ちますケドね(笑)!
炎の形が違う!
まずはそれぞれのバーナーの炎の形を見てください。
ST-330の炎は中央に集中しているのが特徴的ですね!対して、ST-301は炎がフワッとそとに広がるイメージなので、一般家庭のコンロに似た炎の出方になっています。
実際ST-330を使用してみて気づいたんですが、この中央集中型のST-330の炎はマグカップの飲み物を温める時にめっちゃくちゃ便利です。
私が使用しているマグカップは「スノーピークのシングル構造チタン製マグカップ300」です。2重底では無い、シングル構造なのでそのまま火にかけることが出来るのが特徴のマグカップです。
残念ながら300サイズのマグカップにはST-301もST-330もゴトクが大きすぎて、そのまま置くことはできないのでユニフレーム バーナーパットを敷いて使用しました。
が、ST-330は炎のすべてが小さなマグカップにあたり、あっという間に飲み物が沸きました。
ST-330は炎の口が大きすぎてマグカップ本体の周りにフワッと火があたる感じだったので、ST-330に比べて倍くらいお湯が沸くのに時間がかかったように感じます。
ただ、このST-330の炎の形はマグカップやちびパン、6インチ程度のスキレットを温めるのには最適な形であることがわかりました!
対してST-301はST-330に比べて炎のあたる場所が広い事・火力が強いことから、8インチ以上のスキレットやダッチオーブンなんかには最適だろうと感じました。
実際、ST-330で12インチのダッチオーブンを使用して炊飯した時は、真ん中しか沸騰しておらず、少し硬さにムラが出来てしまいましたからね…。
風に対する強さが違う!
ST-301とFUSION ST-330では耐風性能にも違いがあります。
ST-301も、その前身ST-300から比べると耐風性能があるようには感じていましたが、ST-330は囲いの中に全てのガス噴出孔が配置されているので、横からの風にはかなり強くなっています。
下の写真は横から扇風機の風を当てています。
ST-301は炎がかなり散らされていますが、ST-330は安定した炎となっていますね。
家の中なので、あまり強い風での実験ではないですが、明らかにST-330の方が耐風性能があるのが見て取れました。
実際、炎の形がST-330は真ん中1点集中なので、それだけでも風に強いと言えますしね。
ST-330は横風を受けると、一部のガス噴出孔の火が消えてしまいます。
ただし、すべての火が消えることは無いので風が弱まればすぐに火は元通りになります。なので、全く使えないわけではないですが、ST-301は風の強い日は風防が必要ですね~。
・ST-301は風の強い日は使えなくはないけど、一部のガス噴出孔から火が消える
・FUSION ST-330は構造上風に強い
と、風に関しては構造の進化が見て取れましたね~。
ゴトクの足の数が違う!
ST-301のゴトクは3本です。
ゴトクの外形20㎝。ゴトクの1本1本の径は0.5㎝とかなりの安心感のある太さです。固定してしまえばゴトクがガタつくという事も有りません。
対してFUSION ST-330のゴトクが4本あります。
ゴトクの外形は16.5㎝で、ST-301に比べて少し小さくなりました。そしてゴトクの1本1本の径は0.4㎝と、比較するとちょっと細いです。
ST-301を長年使っていたので、少し細いな~と思いましたが、4本あるので、強度に問題はないと思います。
ただ、FUSION ST-330のゴトクには、アソビ幅がかなりあるのが気になりました。
本来なら、4本が各々垂直になっていて欲しいのですが、ここまでアソビで開いてしまいます。ST-301の3本ゴトク程の間隔までは開きませんが、結構ゴトクの足がアソビで動きます。
じゃあそれが危ない位なのか?っていうと、そこまで危ないアソビ幅ではありません。ST-301は全くアソビが無いので、気になったという程度です。
下にST-301とST-330それぞれに、丸っこいバウルーホットサンドメーカーを乗せている写真が有ります。まずはFUSION ST-330…
ゴトクが最大限アソビで開いていても、そこそこ安定して乗っかっていました。
ST-301の場合はゴトクが3本足なので、不安定な形状をしたバウルーホットサンドメーカーは少しのはずみですぐ落ちてしまいます。なので、今までは別途ゴトクを使用していました。
やはり、4本足はかなりの安定感をもたらしてくれます。
組み立て方がかなり違う!
基本的にはST-301に比べて、FUSION ST-330はかなり組み立てやすくなっています。その為にゴトクの足のアソビ幅が出たのかもしれませんが…。
ST-301の組み立て方
ST-301の組立前はこうなっています。
まずは足を組み立てます。
足の付け根の出っ張りを、台座のくぼみにはめます。
あとは上の真鍮色の金具をネジ式に回して下におろして固定します。
ココが特徴的な組立ポイントになっています。まずはカギ穴を合わせてぐっと押し込みます。
ぐっと押し込んだら、黒い部分を回していくと固定できます。
これで完成。使い方がわからないとなかなか組み立てれない、変わった構造です。
変わった構造な分、固定されている安心感がかなりあります。
FUSION ST-330の組み立て方
たいして、ST-330はかなり簡単になりました!まずは組立前の状態から…
足は広げるだけで勝手にくぼみに足の出っ張りがはまって固定されます。
ばねのチカラで勝手に固定されているだけなので、収納時は足を上に押すと外せるようになります。
ただ4本とも開くだけでOKです。めっちゃ簡単です。
岩谷のカセットコンロみたいに出っ張りに合わせてガス缶をはめます。
そしたら次は、これも岩谷のカセットコンロみたいにガス缶を回したら固定できます。
以上です!めっちゃ簡単です。
注意が必要なのが1点だけあります。
ガス缶を差し込む口部分に、赤で囲ったようにパーツが重なっているとガス缶を押し込めません。きちんとパーツが重ならないようになっているか確認してから差し込みましょう。
FUSION ST-330だけ収納袋が有りません
じつはFUSION ST-330だけ収納袋が付いていないんです!
なので、キャンプ場へ持って行く際は
①商品の箱を使う
②収納袋を作るor買う
③むき出しのまま持って行く
のどれかを迫られます(笑)!
いままでST-300もST-301も袋付きだったので、付いていないとは思いませんでした!
ただ、セリアのBEL-FORETというケースが良い感じに収納できるので、現在はこのように収納しています。
ただ、せっかくST-301より小さいのに、箱のせいでST-301より大きくなっているのはちょっと残念…。
ST-301・FUSION ST-330はそれぞれどういう人が買うべき?
・ランニングコストを抑えたいか?
・すでにCB缶を使うギアを持っているか?
・ガスバーナーでもスキレット・ダッチオーブンを使いたいか?
・11月~3月にもキャンプに行くか?
・小さいギア(マグカップ等)を熱したいか?
この点が重要ポイントになりますね。
上の黄色線の3個に当てはまる場合、分離型バーナーST-301もしくは、FUSION ST-330はおススメできます。
そして、青線が「YES」の人は、ST-301ではなく、FUSION ST-330をおススメします。
ST-301はST-330より安いので、冬キャンプを考えていないのであれば、ST-301でも十分だなって、個人的には思っていたんですけど、炎の形が中央に集中しているFUSION ST-330は小さいものを温めるのがめちゃくちゃ上手です。
逆に大きい調理器具を温めたい&冬は使用しないなら、ST-301がおススメです。
その他は、風とか、組み立てやすさにも違いがあるので、そこらへんも加味して、どちらが好みのギアかを考えるのが良いかな?っていう感じですね。
私の場合は、冬も行くので1台はST-330が欲しい!と思っていました。ギアも全てホワイトガソリンとCB缶の2つだけに統一しています。
OD缶のギアをすでに持っている場合は、OD缶+CB缶を持って行かないといけなくなるので、あまりおススメできません。荷物が多くなっちゃいますから。
分離型バーナー自体の魅力ってどんなことがあるの?と気になった方はぜひこちらの記事もご覧ください。上記の輻射熱の事も、それ以外も紹介しています。
SOTOの分離型バーナーを使った調理の一例もご紹介します。
冬の寒さに対して無類の強さを誇るOPTIMUS NOVAというバーナーも紹介していますが、ガスに比べると扱いが難しいです。
輻射熱を気にしなくてもOKなユニフレーム 焚き火テーブルの記事も有りますので、鋳鉄製ギアを分離型バーナーで使いたい方は是非ご覧ください。
それではまた!
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